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「自由意志は幻想だ」という主張は、実験神経科学の側から出てきました。 ここではそれに反論している側、つまり自由意志はあると論じる研究者を追います。 人物紹介は編集、論文は Crossref から自動収集です。

20人 / 論文 153 件 · 最終取得 2026-08-29 02:06 JST

何が争われているのか

論争の骨格を先に置きます。

1983
Libet の実験
好きなタイミングで指を動かす課題で、動かそうと意識する約0.35秒前に 脳に準備電位が現れた。決定は意識より先に脳で始まっている、と解釈された。 自由意志否定論の実験的な出発点。
2008
Haynes らの予測実験
fMRIで、被験者が自覚する最大10秒前に選択を予測できたと報告。 ただし予測精度は約60%で、偶然の50%をわずかに上回る水準にとどまる。
2012〜
Schurger の再解釈
準備電位は「決定の開始信号」ではなく、閾値に向かう神経活動の自発的なゆらぎを 事後的に平均した結果として現れる、というモデルを提示。 否定論の土台が実験の解釈の問題であることを示した。
2020年代
論点の移動
指を曲げるような恣意的な選択と、理由に基づく熟慮的な選択は 別の神経過程だという指摘が強まる。Libet型の課題で示せるのは前者だけで、 道徳的責任が問われる場面は後者にあたる。
立場の地図。「決定論だから自由意志はない」とする硬い決定論に対し、 両立論は、自由意志とは物理法則からの独立ではなく「自分の理由に基づいて行為できること」だと定義し直します。 リバタリアンはより強い意味の自由を擁護し、そのために非決定性や新しい因果の層を持ち出します。 下に並ぶ研究者は、この2つの陣営にまたがっています。

人物

立場の要約は編集によるもの。各人の最新論文は自動で更新されます。

Uri Maoz

チャップマン大学慎重な擁護

神経科学と哲学の共同研究を組織する中心人物。「自由意志を否定する証拠には高い基準を課すべきだ」という立場から、Libet型実験の解釈を問い直している。

Aaron Schurger

チャップマン大学Libet解釈への反証

準備電位は「決定の開始信号」ではなく、閾値に向かう神経活動の自発的なゆらぎの産物だと再解釈した。自由意志否定論の実験的な土台を掘り崩した仕事。

Adina Roskies

ダートマス大学神経哲学からの擁護

神経科学のデータが自由意志や道徳的責任について何を示せるのか、その推論の限界を精査する。神経科学と法・倫理の接点も扱う。

Kevin J. Mitchell

トリニティ・カレッジ・ダブリン生物学からの擁護

神経遺伝学者。生物が進化の中で獲得した「行為主体性」を土台に、決定論と両立する形で自由意志を擁護する。著書 Free Agents(2023)。

Peter Ulric Tse

ダートマス大学リバタリアン寄り

シナプス重みの再設定によって、脳が自らの因果的な判断基準を書き換えられるとする criterial causation を提唱。物理法則の中で自由を確保しようとする試み。

最近の論文
2024.07
The Philosophy of Free WillA Neurophilosophy of Libertarian Free Will
2024.07
Scientific Arguments against Free WillA Neurophilosophy of Libertarian Free Will
2024.07
The Neuroscience of Free WillA Neurophilosophy of Libertarian Free Will
2024.07
A Neurophilosophy of Libertarian Free WillOxford University PressOxford
2024.07
The Basic QuestionsA Neurophilosophy of Libertarian Free Will
2024.07
IntroductionA Neurophilosophy of Libertarian Free Will

Eddy Nahmias

ジョージア州立大学両立論

実験哲学の手法で、一般の人が自由意志や責任をどう理解しているかを調べる。「決定論だと分かると人は自由意志を否定する」という前提自体を実証的に検証している。

Björn Brembs

レーゲンスブルク大学動物行動からの擁護

ショウジョウバエなどの行動が刺激に対して一意に決まらないことを示し、脳には自発的な変動性を生む機構が組み込まれていると論じる。人間以前の段階に自由度の起源を置く。

Christian List

ミュンヘン大学哲学からの擁護

自由意志は物理レベルではなく行為主体レベルに現れる実在の性質だと論じる。著書 Why Free Will Is Real(2019)。

最近の論文
2022.01
The Naturalistic Case for Free WillJerusalem Studies in Philosophy and History of Science
2021.12
Group Agency and Artificial IntelligencePhilosophy & Technology
2019.05
Why Free Will Is RealHarvard University Press

Alfred R. Mele

フロリダ州立大学哲学からの擁護

Libet実験が自由意志を否定したという主張の論理的な弱点を、長年にわたり体系的に指摘してきた哲学者。

最近の論文
2026.01
Free willConsciousness: A Comprehensive Reference
2022.11
2022.11
2022.11
Mixing It UpFree Will

Liad Mudrik

テルアビブ大学実証・中立

意識研究の側から、無意識が意思決定に及ぼす影響を実証的に切り分ける。擁護でも否定でもなく、何が測れているのかを厳密にする立場。

Jing Zhu

厦門大学(朱菁)意志作用の擁護

行為の哲学。Libet以後に軽視されてきた「意志作用(volition)」を、科学的に扱える対象として立て直すことを主張してきた。Intention and Volition、Understanding volition、Locating volition など。

最近の論文
2005.09
Explaining Synchronic Self-ControlThe Southern Journal of Philosophy
2004.06
Intention and VolitionCanadian Journal of Philosophy
2004.06
Understanding volitionPhilosophical Psychology
2004.06
Locating volitionConsciousness and Cognition

Feng Yu

武漢大学(喻丰)実証・信念の研究

道徳心理学。自由意志を「あるかないか」ではなく「人が自由意志を信じることが行動に何をもたらすか」として実証的に扱う。近年はAIの道徳的行為主体性にも展開。

Kaiping Peng

清華大学(彭凱平)文化差の実証

文化心理学。自由意志と決定論についての信念を測る尺度の中国語版を作り、東西の直観の差を検証する。自由意志の直観が普遍か文化依存かという問いに実証で答える立場。

Haiyan Wu

マカオ大学(呉海燕)神経科学・責任

道徳的意思決定の神経科学。人が繰り返し道徳的選択を行うときの神経基盤や、行為主体感と責任の関係を扱う。擁護でも否定でもなく、何が測れているかを詰める側。

Hengwei Li

浙江大学(李恒威)意識の哲学

意識の哲学と認知科学。意識を進化の観点から捉え直す議論を展開し、中国語圏で意識研究の枠組みを紹介・整備してきた。

Patrick Haggard

ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン実証・行為主体感

「意図的束縛(intentional binding)」を用いて行為主体感を客観的に測る手法を確立した。自由意志そのものではなく、自由に動かしているという感覚がどう作られるかを実験で切り分ける。

Marcel Brass

フンボルト大学ベルリン実証・意図的抑制

「やらないでおく」決定(intentional inhibition)の神経基盤を研究。Libet型の「やる」決定だけでは足りないという視点から、拒否権としての自由意志を扱う。

Sofia Bonicalzi

ローマ第三大学哲学・実証の橋渡し

行為の哲学と実験心理学の両方から、意思決定・責任・行為主体感を扱う。神経科学の結果が責任概念に何を意味するのかを慎重に切り分ける立場。

Jonathan Roiser

ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン計算論的精神医学

意思決定の計算論的モデル化。動機づけや意欲が失われる状態(アパシー)を通じて、「意志」が壊れるときに何が起きているのかを臨床から照らす。

Hans Liljenström

スウェーデン農業科学大学複雑系からの擁護

脳をゆらぎと非線形性を持つ複雑系として扱い、そこに決定論と自由の関係を位置づける。ミクロのノイズがマクロの選択に効く経路を数理的に検討する。

中国語圏について。後半5人は中国の研究者です。ただし 中国語の学術誌は Crossref の収載が薄く、自動収集で見えるのは国際誌に 出したぶんだけになります。中国語圏の自由意志論には、宋明理学の「意」や 王陽明の良知をめぐる議論から現代の分析哲学まで厚い蓄積がありますが、 その大半はここには現れません。ここに並ぶのは 国際的なデータベースで実在と著者の一致を確認できた人だけです。

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この運営者自身の草稿。決定論と運命論の区別を介入主義的因果で形式化し、 MacKay の論理的非決定性を Γ − C という測定可能な量に置き換える試み。 未査読の個人草稿です → 決定論から運命論は導けない
2024.06
After Beveridge
Beveridge and voluntary action in Britain and the wider British world · Paul Smyth